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徳川慶勝~歴史秘話ヒストリア(NHK)

by 七色カラス on 6月.18, 2010, under TV番組(ドキュメンタリー・教養)

歴史秘話 ヒストリア
特写!お殿様のスクープ写真
~幕末の名君 人生山あり谷あり~

NHK総合、平成22年 6月16日(水)放送

■ 再放送予定
平成22年 6月23日(水) 08:15~ BS2
平成22年 6月23日(水) 16:05~ 総合

面白い番組でした。

そもそも、前の週に放映された予告編を観て、「徳川慶勝」って誰?
最後の将軍「徳川慶喜」の「慶」が同じ字だけど、親戚?

とか、気になってました。

結局、放送を観て、幕末の尾張藩の藩主だとわかったのですが、
徳川慶喜との血のつながりとなると、徳川家康の代まで200年くらいさかのぼらないといけない。

けど、まぁ、尾張の隣にあった高洲藩 松平家という名門の出身。

放送の冒頭で、いきなり旅先の部屋などを、飛び出す絵本式に立体的に模写して記録した本が出てきた。
スゴイ。クリエイティブなお殿様だ。

撮影した写真の数々もスゴイのだけど、徳川慶勝にまつわるエピソードがスゴイ。

あと、兄弟がスゴイ。

徳川慶勝の下に弟が3人いるのだけど、中でもすぐ下の弟は、会津藩に養子に入って、松平容保となっているのですね。

松平容保と言えば、今、大河ドラマ『龍馬伝』で、京の都を警備している京都守護職ですよね。
新撰組を後ろで糸を引く、京都警備の責任者です。

あと、鳥羽伏見の戦いの後、徳川勢を破った西郷隆盛率いる新政府軍が東海道、中仙道を通って、江戸へ向かう際、街道沿いにある徳川方の諸藩から、徳川慶勝 にどう対応すべきか、お伺いを立ててるんですね。

人望の厚い人だったんですね。

これに対し、徳川慶勝は、幕府の敵である新政府軍に味方し、街道をすんなり通すようにと、呼びかけてるんですね。

その結果、街道沿いの各藩が新政府軍側に寝返って、大きな争いもなく
新政府軍は、すーっと江戸城まで迫ったわけですね。

このエピソードも初めて知ったのですが、ずっと疑問に思っていたんですよね。
西から江戸へ向かう要所要所は、徳川家康の時代から、江戸の守りを固めるために、徳川忠義<ちゅうぎ>の大名を配備していたんですよね。

それが、どうして新政府軍が江戸城の寸前まで、何故に、すーっと進軍できたのか?

こういうエピソードがあったんですね。

それにしても、戊辰戦争でボロボロになった会津若松城の写真は、ショッキングだったなぁ。

会津藩に養子に入った弟、松平容保とは、兄弟が敵味方に分かれてしまったんですよね。
それから、それから、再現映像の中で、徳川慶勝を演じた篠井 英介(ささい えいすけ)さんも良かったです。

写真に熱中する姿や、シャキッと尾張藩の財政再建とか、憂い深く物思いにふける姿など、
エピソードと、篠井英介さんのイメージや雰囲気がピッタリあってましたね。

このまま、『龍馬伝』に、徳川慶勝役で出演して欲しいくらい。
そもそも『龍馬伝』に徳川慶勝が出てくるかどうかわからないけど。

いやいや『龍馬伝』と言わず、新しい大河ドラマの主人公にもできるんじゃないか?と思うくらい徳川慶勝という人物のエピソードが面白いし、篠井英介さんのイメージや雰囲気がすごくよかったです。

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探査機はやぶさ、涙の帰還

by 七色カラス on 6月.10, 2010, under TV番組(ドキュメンタリー・教養)

クローズアップ現代 「傷だらけの帰還 探査機はやぶさ の大航海」 2010年06月10日, NHK総合

いやぁ~感動しました。

小惑星探査機 はやぶさ の ぼろぼろになりながらの感動の帰還。

燃料漏れから、行方不明になるは、エンジンが全機使えなくなるは、もうボロボロの帰還ですよ。

その、どこか人間くさいところが、感動を呼んでいるのかな。

涙が出てきた。

これで、カプセルを回収して、もしも、小惑星「いとかわ」の砂が入っていなかったら。。。「オイッ!」って感じだけど、そこがまた「探査機 はやぶさ」の人間くささが出ててよかったりして。

まじめな話、何度も危機に見舞われて、その度に、いろんな工夫をして乗り越えてきたスタッフたち。 その工夫とノウハウが、いずれ民間の技術に反映されて、ごく普通の人たちが使う技術の中に生かされてくるんだと思う。

だから、科学技術や、学術研究を、費用対効果とか、そんな1本のモノサシで計らずに、失敗(あるいは失敗しそうになっても乗り越えるところ)から、いかに多くのことが学べるのかということを考えた上で、いろいろな角度から評価してほしいと思う。

【宇宙つながり】
かくして冥王星は降格された

【探査機はやぶさ関連番組レビュー】
“はやぶさ” 快挙はなぜ実現したか~追跡 A to Z (NHK)

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ニッポン公共事業物語 (NHK教育)

by 七色カラス on 5月.25, 2010, under TV番組(ドキュメンタリー・教養)

歴史は眠らない
ニッポン公共事業物語
NHK教育、 2010年5月放送(全4回)、 語り手 堺屋太一

第1回 平安京 千年の都の誕生
第2回 巨大な城は権力のシンボル
第3回 “希望”が作り出した近代国家
第4回 成功から迷走 そして理想の模索へ

ん~、期待したほどに、パッとしたビジョンは得られなかったけど、わかりやすい番組でした。

公共事業をめぐって、特に最近、無駄だとか、一度始まったら止まらないとか、いろいろ言われていますが、そういう声というか、疑問に、考えるヒントは与えてくれたと思う。

第1回は、見逃してしまったけど、番組を通じて、公共事業を歴史から読みというてみるに、

  • 土地改良、城作り、用水路建設などなど、いずれも、「最初は、必要があるから作る」というところから始まっている。
    → だから、役に立つ。
  • それが、だんだん、作ることが目的、金が余っているから作るというように本来の必要性が失われ、本末転倒になってしまう。

というところが共通点。まぁ、今更、目新しいことではないけど。。。

役に立つ公共事業というのは、

  • 公共事業を通じて、新しい技術が生まれる、進歩する。
  • 公共事業の結果(道路であれ、土地改良であれ)、新しい産業や文化が、そこから生まれる。→ 未来につながる。
  • この未来につながるという点で、地域(地元)の人々が公共事業に夢を託せる。

ということだ。

でも、地方の産業・経済は、公共事業頼みという現実をどう考えればいいのだろう?

地方は、今、ほんとにひどいですよ。 そもそも産業が無い。仕事が無い。 だから公共事業が欲しい。 そんな構図は、皆さん批判されるところだと思いますが、現実問題として、ほんとにそうでもしなきゃ生活できないんですよ。地方は。

この番組の第4回で、住民から必要な公共事業を公募して、第三者機関がそれを審査するという京都府の公共事業に対する新しい取り組みについて触れていたけれども、いい取り組みではあると思うけど、結局、お役所が重い腰を上げなきゃ話にならない。

公共事業が頼みという地方経済を活性化させるにはどうしたらいいんだ?

実際問題、地方が今、公共事業を国からもらったとしても、大部分は、景気対策。 作ることが目的。 道路、空港、港、土地改良、いずれにせよ、作っておしまい。 だから、その公共事業からの発展性が無い。 そこから、新しい産業や文化が生まれるわけではない。

今すぐ、答えは見出せないけど、公共事業の結果、そこから新しい産業や文化が生まれるかどうか。その公共事業に未来の夢を託せるかどうか、という視点がこの番組から学べたことですね。

それと、やっぱり、「歴史は眠らない」というタイトルにもあるとおり、歴史の中から学ぶべきところは大きいということですね。

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絶妙な「断り方」の技術

by 七色カラス on 5月.19, 2010, under 実用書, 政治・経済・経営

絶妙な「断り方」の技術
ストレスを無くし、信頼関係を築き、損をしない「NOの言い方」
雨宮 利春 著、 2007年6月、明日香出版社

「謝罪」 → 「断り」 → 「断る理由」 → 「代替案の提示」

を軸に、「アサーティブ行動」や、「自己傾聴」など、様々な理論や概念を織り交ぜて、断り方を解説してくれている。

値引きや、無理な納品、無理な仕事の依頼などなど、様々なシチュエーションを取り上げているところや、各テーマごとに練習問題が挿入されている点も実践的。

イラストや図がたくさん入っているので、わかりやすくて、ささっと読めるので、どちらかというと、営業バリバリの経験者よりも、営業経験やお客様対応経験が少ない人向けの「断る」技術の入門書的位置づけだと思う。

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私のジョン万次郎~子孫が明かす漂流150年目の真実

by 七色カラス on 4月.25, 2010, under ジョン万次郎の本・伝記・伝記的小説

私のジョン万次郎
子孫が明かす漂流150年目の真実
中浜 博 著、 1991年 小学館

土佐の中の浜の漁師の子・万次郎が、宇佐浦から小さな漁船に乗り組み、時化(しけ)に遭って漂流した1841年(天保12年)から、150年目を記念して出版された本である。

サブタイトルにもあるとおり、著者の中浜博氏は、ジョン万次郎(中浜万次郎)のから数えて4代目、曾孫(ひまご)であり、中浜家に伝わる話などを交えて、まさに子孫でなければ知りえない情報をふんだんに用いられている。

ジョン万次郎の子孫による伝記というよりは、研究書として位置づけられるものと思う。著者の中浜博氏ご自身も、あとがきのなかで「伝記と資料集の間を埋める」と表現されている。

私たち一般人にとってこの本が貴重であるなと思うのは、ジョン万次郎が日本に帰国して最初に書かれた漂流記・河田小龍による『漂巽紀略(ひょうそんきりゃく)』や同じく土佐の識者 吉田誉吉による『漂客談奇(ひょうきゃくだんき)』などの図版が掲載され、解説されている点。

また、咸臨丸で、日米修好通商条約の批准書交換のため遣米使節団に随行した際のことも、咸臨丸に同乗し、日本人水夫らの働きを大いに助けたブルック大尉の日記と、日本人側の日記を照らし合わせるなどして詳しく検証している。

また、万次郎を助け、アメリカで教育を受けさせてくれたホイットフィールド船長の子孫とも世代を超えた長いお付き合いをされているご様子も描かれている。 私が持っている版の巻頭にはジョン万次郎とホィットフィールド船長の肖像と、それぞれの家系図が掲載されている。

それから、「坂本龍馬」本には人斬り以蔵として登場する 岡田以蔵 が、勝海舟から命じられて、ジョン万次郎の警護をしていたという話なども書いてあり、驚いた。

以上、列挙した点からも察せられると思うが、ジョン万次郎のことを伝記や伝記的小説で、ある程度知っている人が読むと、「あぁ、あのことはそういうことだったのか」とか、「へぇ~、そうだったのか」とか、驚きと新たな発見ができる本だと思う。

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ジョン万次郎 ~日本を開国に導いた陰の主役~

by 七色カラス on 4月.18, 2010, under ジョン万次郎の本・伝記・伝記的小説

ジョン万次郎 ~日本を開国に導いた陰の主役~
星 亮一 著、 1999年 PHP文庫

まさに、サブタイトルのとおり ~日本を開国に導いた陰の主役~ なんですよ。ジョン万次郎は。と、個人的に思うのです。

だから、幕末の激動の中での、ジョン万次郎と幕末の志士たちとの交流、そして万次郎が彼らに与えた影響、そう考えるととってもいい視点で書かれているなと思います。

ちょっと残念なのは、方言(土佐弁や、薩摩弁、江戸弁)と侍言葉、そして現代語との使い分けが、文章の中でケンカしてしまっている気がします。

ただ、これは、私個人が、方言バリバリの津本陽作品『椿と花水木』を最初に読んだ から、そう感じるのかもしれません。

本書、星 亮一 氏の『ジョン万次郎 ~日本を開国に導いた陰の主役~』の巻頭には、幕末の西日本地図が土佐、薩摩などなど、当時の国名入りで掲載されていますし、巻末には1ページの簡潔な「ジョン万次郎」関係年表がついてます。

だから、はじめてジョン万次郎の小説を読む人にとっては、この本のほうが親切なのかもしれない。

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ジョン万次郎漂流記

by 七色カラス on 4月.17, 2010, under ジョン万次郎の本・伝記・伝記的小説

ジョン万次郎漂流記
井伏鱒二 著、1999年 偕成社文庫

私の手元にあるのは、1999年に偕成社文庫として、「ジョン万次郎漂流記」の他、「山椒魚」、「屋根の上のサワン」など井伏鱒二 作品 5編を収録した版。

オリジナルの井伏鱒二の「ジョン万次郎漂流記」は、昭和12年(1937年)に刊行され、翌 昭和13年に直木賞を受賞している。

現在、私のような一般人が手にすることができる最も古い ジョン万次郎の本 のひとつだろう。

その古さに興味津々で読んでみた。

ジョン万次郎という人物を、どう表現しているのだろうかと。

読んでみて、ジョン万次郎という人物そのものの表現よりも、文章全体にわたっての現代の小説との表現方法というか文体の違いに面白さを感じた。

大げさだだけど、自分も少し江戸時代末期の感覚に近づいたかな? と。

というのは、ジョン万次郎ら漂流民を助けたホィットフィールド船長をはじめ、異国人(特に身分が高い人々)のセリフがお奉行様言葉なんですよ。

例えば、ホィットフィールド船長のセリフとして「拙者は、そのほうらに告げる。拙者は…」という具合。

アメリカ人が、「拙者は…」とは言わないだろう。。。

これ、最初は変に思ったのだけど、ある意味、的を得た表現なんじゃないかなと思った。

つまり、初めて見る異国人、しかも船長らしき身分の高そうな人、さらに互いに言葉が通じない。当然、相手は英語でしゃべっている。

とすると、身振り手振りで、どうにか意味を理解した万次郎達は、心の中で日本語にしているわけで、そうすると、江戸時代ですから、土佐弁か、お侍言葉しかないわけで、双方の身分から考えれば、当然、相手の英語を、心の中でお奉行様言葉として思い浮かべていても不思議はないなぁ。と思ったわけです。

当然、この小説が書かれた昭和12年という時代の文体ということもあるのかもしれないけど。

それから、この本の あとがき でも触れられていますが、昭和12年という日中戦争勃発から太平洋戦争へ向かっていこうとしている時代に、よくこの小説を発表できたなぁという感想を持ちました。

いくら江戸時代末期~明治時代の人物の話とはいえ、アメリカ(と海に)に10年も学んで、江戸幕府の国禁(鎖国令)を冒して生きて帰ってきた人々の物語なんですよ。

戦争が拡大していって、言論統制が強まろうとしている真っ只中の刊行だったんだろうなぁと想像すると、ただただ、凄いなと思うのでした。

あと、余談ですが、やっぱり、香川照之さんなら演じられる。 いつの日か香川照之さんにジョン万次郎を演じて欲しいと思いました。

他のジョン万次郎の伝記や伝記的小説にもあるように、ジョン万次郎がフェアヘブンのバートレットアカデミーという私塾でアメリカの子供たちと机を並べるシーンがあるんですが、ジョン万次郎はこのとき17歳ぐらいで、周りの子供たちは小学生くらいだったらしいんですね。

色の黒い日本人のちょっとお兄さんの”香川照之”万次郎が、アメリカの小学生たちと机を並べて楽しそうに学んでいるシーンが眼に浮かびましたよ。

ものすごく自然に。溶け込んでた。私のイメージの中では。(笑)

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椿と花水木 ~ 万次郎の生涯

by 七色カラス on 4月.16, 2010, under ジョン万次郎の本・伝記・伝記的小説, 津本陽

椿と花水木 ~ 万次郎の生涯
津本陽 著,  1996 新潮文庫

ご存知ジョン万次郎の生涯を、その幼少時代からアメリカへ渡るいきさつ、アメリカ時代、 そして日本で待ち受けるさまざまな出来事、そして旧友との再会等々、 感情豊かに描くジョン万次郎の伝記の最高傑作。 津本陽氏の作品はみんなそうだが、まるでジョン万次郎が目の前にいるかのような錯覚を覚えるほど 情緒豊かに描かれている。史実にも客観的で、かつアメリカでのラブロマンス、そしてアドベンチャー。 夢と歴史の世界に浸りたいときにお勧めの一冊。ジョン万次郎の本といえばこの一冊。

※ 心に残った一行 ※
遭難しジョン・ハウランド号に救助され、ハワイ・オアフ島での別れのシーン。 「万次郎が筆乃丞の言葉を伝えると、キャプテンはうなずき、彼の目をのぞきこむ。 『お前や、どうすりゃ』『わえはキャプテンといっしょにいきたい』


HTML版 書評・レビュー 椿と花水木 ~ 万次郎の生涯 より、手元にあるジョン万次郎 関連の本の書評をまとめてアップする機会に転載。

この本 『椿と花水木 ~ 万次郎の生涯』は、病気で入院中に、病院の売店で何の気なしに手に取ったものでした。

「治るのだろうか?」、 「仮に退院できたとしても、仕事に復帰できるのだろうか?」という不安を、この本を読んでいる間だけは忘れさせてくれました。

それ以来、何か落ち込むようなことがあった時や、先が見えないような何かにぶつかったときには、必ずといっていいほど、この本を読みました。カバンにいつも入れて歩いて。 そのせいで、もうボロボロです。

何度も読んだせいか、歳をとったせいか、今現在の心に残る一行をあげるとしたら、万次郎が十数年ぶりに土佐に帰って、お母さんと再会するシーンです。

歳はとりたくないなぁ (笑)

ところで、ほんとに余談ですが、この本を読み終えたとき、この『椿と花水木 ~ 万次郎の生涯』を原作にして、NHK大河ドラマにでもして欲しいなぁと思った。

そして、2002年のNHK大河ドラマ「利家とまつ」の豊臣秀吉役で香川照之さんを初めて知ったとき、「あ、この人にジョン万次郎を演じて欲しい」と思いました。 なんかぴったりなんですよね。イメージが。

NHK大河ドラマで一年間は難しいかもしれませんが、土曜ドラマ枠とか、NHKスペシャルドラマ枠あたりで、ジョン万次郎の話をNHKにドラマ化して欲しいなぁ。 ドラマのイメージとしては、「 菜の花の沖(司馬遼太郎著) 」を竹中直人さん主演でドラマ化したときのようなイメージでしょうかね。

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竜馬がゆく

by 七色カラス on 4月.15, 2010, under 司馬遼太郎, 歴史、時代小説

竜馬がゆく
司馬遼太郎 著, 1998年 文春文庫

1975年6月に刊行された文春文庫『竜馬がゆく』の新装版。

初出は、産経新聞 夕刊連載 昭和37年(1962年) 6月21日 ~ 昭和41年(1966年) 5月19日 全1,335回

「坂本龍馬って こんな人だったのか??」、「何か変だな?しっくりこないな。」という何か違和感のようなものを感じながら読み進んでいくうちに、いつのまにか司馬遼太郎氏の描く坂本竜馬に惹き込まれてしまっている。
人たらしの竜馬のとりこになってしまっていた。
もうそうなると、司馬遼太郎氏の描く坂本竜馬に会うのが楽しくて嬉しくて本を開くようになってしまう。

さすがは「坂本龍馬」本のスタンダード的存在だけあって、史料に詳しくあたっているのがよくわかる。その上での細かい描写に引きずり込まれてしまう。

だからこそ逆に、小説「竜馬がゆく」の竜馬が、まるで本当の坂本龍馬像であるかのごとく、脳ミソに刷り込まれてしまうのだろう。

司馬遼太郎氏の歴史の解釈や龍馬史の描き方を批判する方も当然いらっしゃると思う。
しかし、この「竜馬がゆく」が最初に発表された1962年(昭和37年)代 当時と、今現在では、世の中の情報量が違うし、「坂本龍馬」研究にしても50年も経てばずいぶん新発見もあるでしょう。

だから、最初の発表から50年近く経った21世紀に生きている人間が、小説としての「竜馬がゆく」を「あそこが違う」、「ここが違う」と揚げ足を取るような批判をしても意味はないと思う。
むしろ、50年も前に、こんなに丹念に坂本龍馬やその周辺の歴史を調べ上げて書いている小説という意味で、やっぱり凄いんだと思う。

龍馬をとりまく幕末の重要人物についても、その生い立ちや明治維新後の動静、活躍、役職などを簡潔に繰り返し解説を挿入してくれているので、幕末の歴史にうとく、物覚えの悪い私でもわかりやすかった。

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中古航空機バーゲンセール | 週刊文春 4月1日号より

by 七色カラス on 3月.25, 2010, under 雑誌

中古航空機バーゲンセール
週刊文春 4月1日号より

まさか書評のブログで、雑誌の記事について投稿するとは思っていなかったけど、ものすごいインパクトを受けたので、書いてみます。

よく、「飛行機の墓場」とか言われて、廃車ならぬ廃棄された飛行機の機体がずらりと並んだ写真を見たことはあるけど、この「中古航空機バーゲンセール」で取り上げられたアメリカのビクタービル空港は、中古車売り場ならぬ中古機売り場なんだそうだ。

ものすごい数の旅客機・貨物機が整然と並んでいる。

世界的な不況で、売りに出される航空機がどんどん増えているのだそうだ。

何ともショッキングな写真と記事でありました。


大きな地図で見る
記事で紹介されていたビクタービル飛行場の中古機売り場
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