本・書籍 ジャンル別

絶妙な「断り方」の技術

by 七色カラス on 5月.19, 2010, under 実用書, 政治・経済・経営

絶妙な「断り方」の技術
ストレスを無くし、信頼関係を築き、損をしない「NOの言い方」
雨宮 利春 著、 2007年6月、明日香出版社

「謝罪」 → 「断り」 → 「断る理由」 → 「代替案の提示」

を軸に、「アサーティブ行動」や、「自己傾聴」など、様々な理論や概念を織り交ぜて、断り方を解説してくれている。

値引きや、無理な納品、無理な仕事の依頼などなど、様々なシチュエーションを取り上げているところや、各テーマごとに練習問題が挿入されている点も実践的。

イラストや図がたくさん入っているので、わかりやすくて、ささっと読めるので、どちらかというと、営業バリバリの経験者よりも、営業経験やお客様対応経験が少ない人向けの「断る」技術の入門書的位置づけだと思う。

Leave a Comment more...

私のジョン万次郎~子孫が明かす漂流150年目の真実

by 七色カラス on 4月.25, 2010, under ジョン万次郎の本・伝記・伝記的小説

私のジョン万次郎
子孫が明かす漂流150年目の真実
中浜 博 著、 1991年 小学館

土佐の中の浜の漁師の子・万次郎が、宇佐浦から小さな漁船に乗り組み、時化(しけ)に遭って漂流した1841年(天保12年)から、150年目を記念して出版された本である。

サブタイトルにもあるとおり、著者の中浜博氏は、ジョン万次郎(中浜万次郎)のから数えて4代目、曾孫(ひまご)であり、中浜家に伝わる話などを交えて、まさに子孫でなければ知りえない情報をふんだんに用いられている。

ジョン万次郎の子孫による伝記というよりは、研究書として位置づけられるものと思う。著者の中浜博氏ご自身も、あとがきのなかで「伝記と資料集の間を埋める」と表現されている。

私たち一般人にとってこの本が貴重であるなと思うのは、ジョン万次郎が日本に帰国して最初に書かれた漂流記・河田小龍による『漂巽紀略(ひょうそんきりゃく)』や同じく土佐の識者 吉田誉吉による『漂客談奇(ひょうきゃくだんき)』などの図版が掲載され、解説されている点。

また、咸臨丸で、日米修好通商条約の批准書交換のため遣米使節団に随行した際のことも、咸臨丸に同乗し、日本人水夫らの働きを大いに助けたブルック大尉の日記と、日本人側の日記を照らし合わせるなどして詳しく検証している。

また、万次郎を助け、アメリカで教育を受けさせてくれたホイットフィールド船長の子孫とも世代を超えた長いお付き合いをされているご様子も描かれている。 私が持っている版の巻頭にはジョン万次郎とホィットフィールド船長の肖像と、それぞれの家系図が掲載されている。

それから、「坂本龍馬」本には人斬り以蔵として登場する 岡田以蔵 が、勝海舟から命じられて、ジョン万次郎の警護をしていたという話なども書いてあり、驚いた。

以上、列挙した点からも察せられると思うが、ジョン万次郎のことを伝記や伝記的小説で、ある程度知っている人が読むと、「あぁ、あのことはそういうことだったのか」とか、「へぇ~、そうだったのか」とか、驚きと新たな発見ができる本だと思う。

1 Comment more...

ジョン万次郎 ~日本を開国に導いた陰の主役~

by 七色カラス on 4月.18, 2010, under ジョン万次郎の本・伝記・伝記的小説

ジョン万次郎 ~日本を開国に導いた陰の主役~
星 亮一 著、 1999年 PHP文庫

まさに、サブタイトルのとおり ~日本を開国に導いた陰の主役~ なんですよ。ジョン万次郎は。と、個人的に思うのです。

だから、幕末の激動の中での、ジョン万次郎と幕末の志士たちとの交流、そして万次郎が彼らに与えた影響、そう考えるととってもいい視点で書かれているなと思います。

ちょっと残念なのは、方言(土佐弁や、薩摩弁、江戸弁)と侍言葉、そして現代語との使い分けが、文章の中でケンカしてしまっている気がします。

ただ、これは、私個人が、方言バリバリの津本陽作品『椿と花水木』を最初に読んだ から、そう感じるのかもしれません。

本書、星 亮一 氏の『ジョン万次郎 ~日本を開国に導いた陰の主役~』の巻頭には、幕末の西日本地図が土佐、薩摩などなど、当時の国名入りで掲載されていますし、巻末には1ページの簡潔な「ジョン万次郎」関係年表がついてます。

だから、はじめてジョン万次郎の小説を読む人にとっては、この本のほうが親切なのかもしれない。

Leave a Comment more...

ジョン万次郎漂流記

by 七色カラス on 4月.17, 2010, under ジョン万次郎の本・伝記・伝記的小説

ジョン万次郎漂流記
井伏鱒二 著、1999年 偕成社文庫

私の手元にあるのは、1999年に偕成社文庫として、「ジョン万次郎漂流記」の他、「山椒魚」、「屋根の上のサワン」など井伏鱒二 作品 5編を収録した版。

オリジナルの井伏鱒二の「ジョン万次郎漂流記」は、昭和12年(1937年)に刊行され、翌 昭和13年に直木賞を受賞している。

現在、私のような一般人が手にすることができる最も古い ジョン万次郎の本 のひとつだろう。

その古さに興味津々で読んでみた。

ジョン万次郎という人物を、どう表現しているのだろうかと。

読んでみて、ジョン万次郎という人物そのものの表現よりも、文章全体にわたっての現代の小説との表現方法というか文体の違いに面白さを感じた。

大げさだだけど、自分も少し江戸時代末期の感覚に近づいたかな? と。

というのは、ジョン万次郎ら漂流民を助けたホィットフィールド船長をはじめ、異国人(特に身分が高い人々)のセリフがお奉行様言葉なんですよ。

例えば、ホィットフィールド船長のセリフとして「拙者は、そのほうらに告げる。拙者は…」という具合。

アメリカ人が、「拙者は…」とは言わないだろう。。。

これ、最初は変に思ったのだけど、ある意味、的を得た表現なんじゃないかなと思った。

つまり、初めて見る異国人、しかも船長らしき身分の高そうな人、さらに互いに言葉が通じない。当然、相手は英語でしゃべっている。

とすると、身振り手振りで、どうにか意味を理解した万次郎達は、心の中で日本語にしているわけで、そうすると、江戸時代ですから、土佐弁か、お侍言葉しかないわけで、双方の身分から考えれば、当然、相手の英語を、心の中でお奉行様言葉として思い浮かべていても不思議はないなぁ。と思ったわけです。

当然、この小説が書かれた昭和12年という時代の文体ということもあるのかもしれないけど。

それから、この本の あとがき でも触れられていますが、昭和12年という日中戦争勃発から太平洋戦争へ向かっていこうとしている時代に、よくこの小説を発表できたなぁという感想を持ちました。

いくら江戸時代末期~明治時代の人物の話とはいえ、アメリカ(と海に)に10年も学んで、江戸幕府の国禁(鎖国令)を冒して生きて帰ってきた人々の物語なんですよ。

戦争が拡大していって、言論統制が強まろうとしている真っ只中の刊行だったんだろうなぁと想像すると、ただただ、凄いなと思うのでした。

あと、余談ですが、やっぱり、香川照之さんなら演じられる。 いつの日か香川照之さんにジョン万次郎を演じて欲しいと思いました。

他のジョン万次郎の伝記や伝記的小説にもあるように、ジョン万次郎がフェアヘブンのバートレットアカデミーという私塾でアメリカの子供たちと机を並べるシーンがあるんですが、ジョン万次郎はこのとき17歳ぐらいで、周りの子供たちは小学生くらいだったらしいんですね。

色の黒い日本人のちょっとお兄さんの”香川照之”万次郎が、アメリカの小学生たちと机を並べて楽しそうに学んでいるシーンが眼に浮かびましたよ。

ものすごく自然に。溶け込んでた。私のイメージの中では。(笑)

Leave a Comment more...

椿と花水木 ~ 万次郎の生涯

by 七色カラス on 4月.16, 2010, under ジョン万次郎の本・伝記・伝記的小説, 津本陽

椿と花水木 ~ 万次郎の生涯
津本陽 著,  1996 新潮文庫

ご存知ジョン万次郎の生涯を、その幼少時代からアメリカへ渡るいきさつ、アメリカ時代、 そして日本で待ち受けるさまざまな出来事、そして旧友との再会等々、 感情豊かに描くジョン万次郎の伝記の最高傑作。 津本陽氏の作品はみんなそうだが、まるでジョン万次郎が目の前にいるかのような錯覚を覚えるほど 情緒豊かに描かれている。史実にも客観的で、かつアメリカでのラブロマンス、そしてアドベンチャー。 夢と歴史の世界に浸りたいときにお勧めの一冊。ジョン万次郎の本といえばこの一冊。

※ 心に残った一行 ※
遭難しジョン・ハウランド号に救助され、ハワイ・オアフ島での別れのシーン。 「万次郎が筆乃丞の言葉を伝えると、キャプテンはうなずき、彼の目をのぞきこむ。 『お前や、どうすりゃ』『わえはキャプテンといっしょにいきたい』


HTML版 書評・レビュー 椿と花水木 ~ 万次郎の生涯 より、手元にあるジョン万次郎 関連の本の書評をまとめてアップする機会に転載。

この本 『椿と花水木 ~ 万次郎の生涯』は、病気で入院中に、病院の売店で何の気なしに手に取ったものでした。

「治るのだろうか?」、 「仮に退院できたとしても、仕事に復帰できるのだろうか?」という不安を、この本を読んでいる間だけは忘れさせてくれました。

それ以来、何か落ち込むようなことがあった時や、先が見えないような何かにぶつかったときには、必ずといっていいほど、この本を読みました。カバンにいつも入れて歩いて。 そのせいで、もうボロボロです。

何度も読んだせいか、歳をとったせいか、今現在の心に残る一行をあげるとしたら、万次郎が十数年ぶりに土佐に帰って、お母さんと再会するシーンです。

歳はとりたくないなぁ (笑)

ところで、ほんとに余談ですが、この本を読み終えたとき、この『椿と花水木 ~ 万次郎の生涯』を原作にして、NHK大河ドラマにでもして欲しいなぁと思った。

そして、2002年のNHK大河ドラマ「利家とまつ」の豊臣秀吉役で香川照之さんを初めて知ったとき、「あ、この人にジョン万次郎を演じて欲しい」と思いました。 なんかぴったりなんですよね。イメージが。

NHK大河ドラマで一年間は難しいかもしれませんが、土曜ドラマ枠とか、NHKスペシャルドラマ枠あたりで、ジョン万次郎の話をNHKにドラマ化して欲しいなぁ。 ドラマのイメージとしては、「 菜の花の沖(司馬遼太郎著) 」を竹中直人さん主演でドラマ化したときのようなイメージでしょうかね。

1 Comment more...

竜馬がゆく

by 七色カラス on 4月.15, 2010, under 司馬遼太郎, 歴史、時代小説

竜馬がゆく
司馬遼太郎 著, 1998年 文春文庫

1975年6月に刊行された文春文庫『竜馬がゆく』の新装版。

初出は、産経新聞 夕刊連載 昭和37年(1962年) 6月21日 ~ 昭和41年(1966年) 5月19日 全1,335回

「坂本龍馬って こんな人だったのか??」、「何か変だな?しっくりこないな。」という何か違和感のようなものを感じながら読み進んでいくうちに、いつのまにか司馬遼太郎氏の描く坂本竜馬に惹き込まれてしまっている。
人たらしの竜馬のとりこになってしまっていた。
もうそうなると、司馬遼太郎氏の描く坂本竜馬に会うのが楽しくて嬉しくて本を開くようになってしまう。

さすがは「坂本龍馬」本のスタンダード的存在だけあって、史料に詳しくあたっているのがよくわかる。その上での細かい描写に引きずり込まれてしまう。

だからこそ逆に、小説「竜馬がゆく」の竜馬が、まるで本当の坂本龍馬像であるかのごとく、脳ミソに刷り込まれてしまうのだろう。

司馬遼太郎氏の歴史の解釈や龍馬史の描き方を批判する方も当然いらっしゃると思う。
しかし、この「竜馬がゆく」が最初に発表された1962年(昭和37年)代 当時と、今現在では、世の中の情報量が違うし、「坂本龍馬」研究にしても50年も経てばずいぶん新発見もあるでしょう。

だから、最初の発表から50年近く経った21世紀に生きている人間が、小説としての「竜馬がゆく」を「あそこが違う」、「ここが違う」と揚げ足を取るような批判をしても意味はないと思う。
むしろ、50年も前に、こんなに丹念に坂本龍馬やその周辺の歴史を調べ上げて書いている小説という意味で、やっぱり凄いんだと思う。

龍馬をとりまく幕末の重要人物についても、その生い立ちや明治維新後の動静、活躍、役職などを簡潔に繰り返し解説を挿入してくれているので、幕末の歴史にうとく、物覚えの悪い私でもわかりやすかった。

1 Comment more...

中古航空機バーゲンセール | 週刊文春 4月1日号より

by 七色カラス on 3月.25, 2010, under 雑誌

中古航空機バーゲンセール
週刊文春 4月1日号より

まさか書評のブログで、雑誌の記事について投稿するとは思っていなかったけど、ものすごいインパクトを受けたので、書いてみます。

よく、「飛行機の墓場」とか言われて、廃車ならぬ廃棄された飛行機の機体がずらりと並んだ写真を見たことはあるけど、この「中古航空機バーゲンセール」で取り上げられたアメリカのビクタービル空港は、中古車売り場ならぬ中古機売り場なんだそうだ。

ものすごい数の旅客機・貨物機が整然と並んでいる。

世界的な不況で、売りに出される航空機がどんどん増えているのだそうだ。

何ともショッキングな写真と記事でありました。


大きな地図で見る
記事で紹介されていたビクタービル飛行場の中古機売り場
Leave a Comment more...

穴のあいた大風呂敷、後藤象二郎 「竜馬がゆく」より

by 七色カラス on 3月.21, 2010, under 司馬遼太郎, 歴史、時代小説

「竜馬がゆく」 司馬遼太郎 著 より、後藤象二郎という人物の描き方を通して、司馬遼太郎氏の「竜馬がゆく」のスポット的書評を書いてみます。

この後藤象二郎という人物の評価は、後藤象二郎 – Wikipedia などをみると、一方では幕末の雄とされ、一方では「将来の総理大臣(武市半平太)を殺した者」という悪評もあって、評価は大きく分かれる。

その後藤象二郎という人物が、小説「竜馬がゆく」で活躍し始めるのは、物語も終盤、土佐藩が坂本龍馬を支援する方向に転換し、龍馬が海援隊を組織するあたりから。

小説の中で、後藤象二郎は「穴のあいた大風呂敷」と表現されている。 つまり、言においては、大風呂敷を広げて、大いに景気のいい気勢をあげるが、その行動においては、大雑把で、広げた大風呂敷の大きな穴に、皆はめられてしまうような、そんな人物として描かれている。

例えば、外国商人から、洋式船、軍艦、洋式銃などを購入するときには、気前よく高値で大量に買い付けるようなことをし、手付金を支払ってあとは支払わない。それどころか、それらの支払いに当てるべき藩の金の大半を酒と芸者遊びにつぎ込んでしまうようなことをする。

さらには、その負債の整理は、長崎留守居役(土佐商会の長)に自らが抜擢した岩崎弥太郎に全部ひっかぶせる。弥太郎も大風呂敷の大穴にはめられた一人だ。

それでいて、駆け引きにはめっぽう強くて、柔硬変幻。 また、佐幕派の土佐藩にあって、かつては尊皇攘夷派の武市半平太ら土佐勤王党を弾圧した張本人でありながらも、最終的には、尊王、開化論の思想に方向転換し、明治維新に貢献することになる。

ここに書いたのは、あくまで小説「竜馬がゆく」で読んだ後藤象二郎という人物についての印象だ。 司馬遼太郎氏の人物の描き方に惹き込まれてしまうと、後藤象二郎という、評価が大きく分かれる人物が、大胆不敵でひどく魅力的に思えてしまう。

司馬遼太郎氏の人物の描き方というのが、その人物を小説の中でいかに魅力的に演じさせるか、そして、いかに読み手の側に強烈なインパクトを与えるかという点で、小説「竜馬がゆく」の面白さの一因でもあり、司馬遼太郎氏の小説の魅力の大きな要素なのだと思う。


1 Comment more...

ゲゲゲの女房

by 七色カラス on 3月.13, 2010, under 自伝・エッセイ

ゲゲゲの女房
人生は…終わりよければ、すべてよし!!
武良 布枝(むら ぬのえ)著、 2008年3月 実業之日本社

2010年4月スタート(3月29日放送開始)のNHK朝ドラ『ゲゲゲの女房』の原作。

「ゲゲゲの鬼太郎」の作者・水木しげるさんの奥様・武良 布枝(むら ぬのえ)さんの自伝。

島根県 安来(やすぎ)市 生まれ育った布枝さんが、子供のころ、おばあちゃんから色々な怖いお話をしてもらうあたりから物語は始まる。

大人になって、目と鼻の先ともいえる鳥取県境港市出身の売れない漫画家 水木しげるさんとお見合い結婚する。

お見合いから、わずか5日で結婚式というスピード結婚。

当時のエピソードを水木しげる氏ご自身が描いた漫画(他の本で刊行されたものなど)が、そこかしこに差し込まれていて、思わず笑ってしまう。

ゆったりとした語るような文章で、水木しげるさんと奥様の、当時のエピソードが目に浮かぶよう。

特に『ゲゲゲの鬼太郎』がヒットする以前の極貧生活を、時に涙を流しつつ、時に水木さん流 極貧の楽しみ方に一緒にはまって熱中してしまったり、つらい生活の中でも、仲むつまじい夫婦の生き様がほっこりと描かれている。

この書評ブログを書いている私自身からすると、水木さん夫妻が、ちょうど私の両親の世代と大体同じなので、うちの両親が結婚した当時もこんなだったんだろうか?とか。あ、そうそう、自分が子供の頃も、そんなことあったよなぁ、などと懐かしく感じる場面もありました。

それに、「ゲゲゲの鬼太郎」のことはテレビアニメで観て知っていましたけれども、水木しげるさんやご家族のことはほとんど知らないわけですから、この本を読んで、奥様や水木さんのご苦労をたくさん知りました。楽しいエピソードもたくさん知りました。

「あぁ、これは朝ドラにもなるわいな」とも実感しました。

そして、貧乏だろうが、豊かだろうが、大事なものは何なのか、ということも少しわかったような気がします。

また、読み進むうちに、この場面は、朝ドラ主役の松下奈緒さんはどうゆう風に演じるのだろうか? とか考えて、楽しみになりました。

読みやすくて、すーっと読めてしまう作品。

【おまけ】挿入されている水木しげるさんの作品の一部
水木しげるさん自身による自伝マンガ
ボクの一生はゲゲゲの楽園だ〈1〉―マンガ水木しげる自叙伝

1 Comment more...

失われた20年

by 七色カラス on 3月.07, 2010, under 政治・経済・経営

失われた20年
朝日新聞「変転経済」取材班 編, 岩波書店, 2009年2月 発行

2007年5月~2008年5月までの1年間、朝日新聞の経済面に連載した「変転経済-証言でたどる同時代史(計48回)」の約半分を選んで加筆し、2008年秋以降の動きを新たに書き下ろしたもの。

失われた20年の節目節目の事件や出来事を、政治家や官僚など、当時のキーパーソンが何を思いどう動いていたのか、ドキュメンタリータッチで、関係者の証言を交えて、時々刻々と伝える形式なので、流れがつかみやすい。

失われた20年のキーとなるそれぞれのエピソードで、当事者の受けた衝撃がよく伝わってくる。

まるで、

  • 幕末のペリー来航と開国
  • 太平洋戦争敗戦とGHQ主導による復興

を時代を変えて読んでいるような印象を受けた。

ただ、違うのは、現代の日本が、いまだ「明治維新」や「戦後復興から高度経済成長」に相当するポジティブな転換を見出せていないところ。

あるいは、非常によい戦略、施策を実行寸前で思いもよらぬファクターによって転換に失敗しているところ。

「この事件が起きたときには、自分はあの仕事をしていたな」などと思い起こしながら、読み進むと、あの時、あの時代に、金融や世界市場の裏舞台でこんな出来事が起きていたのかと、改めて、自分の無知を思い知らされた。

Leave a Comment more...